親という字は、木に立って見ると書きます。リーダーや経営者としてもこの字の成り立ちから学ぶことは多いのではないでしょうか。
目標を立てて日々過ごすことの大切さ、中期目標や長期目標についても皆さんそれぞれ大切にされていると思います。私が経営者となった頃を振り返ると1〜3年を短期目標、5年を中期目標、10年を長期目標としているのがトレンドでした。
けれど、今では1年が短期目標、3年が中期目標、5年が長期目標となっています。
これはどういうことかと言うと、それだけ時代の流れる速度が速いと言うことになります。
物事には3つの潮流があると教えられています。川の流れを3つの断面に捉えて表現する「表層部」「中間部」「深底部」とすると表層部の流れというのは四季の移り変わりで落ち葉や氷が動きを見せるように変化しやすい部分、深底部は比較的環境に左右されない本質とした部分、その間に挟まれた中間部は両者をバランスよく取り入れている部分と考えます。
これは私が開催している勉強会でもお伝えしているのですが
身の回りにあるすべてのデザインはクラシック、モダン、ポストモダンという3層の美意識から養分をとっている。ゆったりとした深層から、力強い本流から。そして波立つ流れの表面から。
引用:五十嵐郁雄著 美意識の芽より
川の表層に起こるような今のトレンドをポストモダンと呼び、深底部のように環境に左右されない部分をクラシックと呼びます。
時代を捉えるときに、この3つの視点持ち、捉える意識をすること、その中でも本質を見誤らない努力が常に大切です。
私が3ヶ月に1回NYに出張する理由はもちろんお客様が待っていてくださるということもありますが、NYという場所は良くも悪くも資本主義の最先端を表現している街であり、それは同時に社会主義の難しさをも表現している場所であるということもあります。
ファッションやビューティは人々の働き方や生活と連動します。
少し前までは最先端の街、NY!という印象がありましたよね。
NYで起こっていることが10年後くらいには日本で体感できる、みたいな。
けれどインターネットの普及により情報格差が小さくなり、しかも情報の伝達も速くなった。
受け取りたいと思う人は最先端の情報を掴みにいくことができますからね。
それはNYで起こっていることが10年と待たずして日本でも起こってきているということの背景にあると思います。細かい事例は他に譲るとして今NYで起きていることが、日本で起き始めていることを私も目の当たりにしています。
それは私たちの住む美容業界でも今後大きな潮流となってくるのでしょう。
この変化を表層部の流れとしてこれを捉えるならば、同時に深層部にある本質を意識していく必要があります。
資本主義に偏りすぎた考え方をすべて否定はしませんが、それによってどこか歪みが生まれていることも否定できないでしょう。個人主義の、収入だけを追う仕組みでの経営は一見華やかに見えた瞬間もあったかもしれませんが、たちまち立ち行かなくなってきています。
ではどうすれば良いのでしょうか。
経営で言えば「人を育てる」ということに行き着くと私は考えています。私の師匠の1人が教えてくださった中国語古典「管子」からの言葉を私は今でも大切にしています。
一年の計は穀を樹(う)うるに如くはなし、十年の計は木を樹うるに如くはなし、終身の計は人を樹うるに如くはなし
中国語古典「管子」
これを意訳しますと、「一年先を思う人は花を育てなさい。十年先を思う人は木を育てなさい。百年先を思う人は人を育てなさい」と読んでいます。
この言葉を私はとても気に入っていて、私たちのサロンは、技術はもちろんですが理念教育を何よりも大切にしています。人を教えるということは、人間的成長にとってとても効果的であることは間違い無いですよね。
だからこそ、教育の仕組みを作っていくこと、そして教育者を評価する仕組みを作っています。
私たちが誇れる会社であるということはお客様やステークホルダーの皆様にとっても誇れる会社であるということだと心に留めて、今月もまたNYへ行ってきます。